能登半島地震被災に思う―機動性・機能性の高い中型病院船を願う―
- masaogata
- 2024年2月12日
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令和6年能登半島地震で1月29日現在死者236人、負傷者1287人と報告されています。犠牲となられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地では現在も道路が寸断されている箇所が多く、道路渋滞で物流や人の流れも制限されていると報道されています。被災された皆様の一日も早い平穏と被災地の復興をお祈り申し上げます。
72時間の壁:72時間の壁とは、被災後の人命救助のタイムリミットで、3日過ぎると生存率が著しく低下するといわれています。この根拠には、阪神淡路大震災の生存率データーと人間が水を摂取せず生存できる限界の二つが挙げられています。今回の災害では、陸での交通網が遮断され、被災後の救助や救護が困難であったり、遅れたりする事態が起こったことが大変危惧されます。
陸での交通網が遮断され災害が起きた時、どのような対策が必要となるのでしょうか?各自の防災備蓄品やグッズの準備、防災訓練、防震対策も必要ですが、今回の災害を思うと海や空からのアプローチ強化で、より効果的に救助・救援する方法を考えなければいけないと痛感いたします。更に早期救助と救命救護が併行できるようなシステムが望ましいと思います。
解決策の一つとして、機動性・機能性に富んだ中型病院船による救助・救護が挙げられます。日本は四方海に囲まれており、津波は沿岸部で被害が強く起こります。被災後、水深が浅いところまでいける病院船を基地として、空からのアプローチとして、ヘリコプターやドローンを駆使して、救助や安否確認はもとより、救援物質搬送、被害状況確認等も日本の高度な技術を駆使すれば、できそうな感じがいたします。
海からのアプローチとして、病院船に揚陸艇や救助艇を搭載し活用すれば、道路が分断され孤立した被災地域にも空からの情報を基に、より早期かつ効果的に救助や救援活動が行えます。早く被災した負傷者や病人を病院船へ搬送でき、検査や治療、手術等の高度な医療行為を行うことが可能です。
このように、陸だけでなく海・空のアプローチを強化し、72時間の壁に挑戦できる体制づくりが必要と思います。そのためには病院船は政府の危機管理室直属として、災害が起きた時にすぐ活動できる体制が必要なことは言うまでもありません。
DMAT(災害派遣医療チーム):今回の震災でもDMATが被災地で活躍されていますが、陸上交通網の寸断により、初動体制が遅れたとの報道もあります。被災地の病院、介護施設は建物の被害や電気・水のインフラの停止等、病院・介護の機能不全をおこし、優秀なDMATの力量を十分発揮できない状況もあったのではないかと思われます。DMATの治療基地を機動性・機能性の高い病院船に置けば、早期に被災負傷者や病人を治療でき、生存率を高め、災害関連死予防や被災地の人々の安心にも繋がると思います。
更に、2021年3月東北大震災による原子力発電所事故での死者は災害関連死を含めると2万2千人以上とされています。日本の原子力発電所はすべて沿岸にあり、今後災害や事故で被曝する可能性もあり、このような状況にも対応できる病院船が必要と考えられます。2020年4月外国クルーズ船内で新型コロナウイルス集団感染が発生しました。712人が感染、13人が死亡し、乗客が長期に隔離されました。日本は観光立国として、クルーズ船の誘致に力を注いでいます。外国の方々が安心して日本を訪れることでき、新興感染ウイルスから日本を守るためにも、新興感染症にも対応できる病院船が必要と思います。
まとめ
第一に被災地の1日も早い復興と被災された方々の安寧を願っております。次に、法律上や様々な問題・制限等があると思われますが、日本の国土や災害に適した機動性・機能性の高い病院船が早期に建造・運用されるよう祈念いたします。
日本は『災害大国』と言われています。今後も日本国内で想定を超えた地震・津波、災害が起こる可能性は十分あると推察されます。将来、『災害大国』から『救災大国』といわれるように、その分野での技術・技能開発を促進し、孤立した被災地でも72時間の壁を乗り越えて、救命・救災ができればと切実に願います。
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